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2012年に経営者として気付いたこと

2012年が終わろうとしています。この1年は経営者としてもビジネスマンとしても 本当に様々な経験をさせていただいた1年となりました。 僕が1年3ヶ月前に起業したグッドパッチはこの1年で15人も仲間が増え、 僕の個人商店ではなくちゃんと会社という組織になりつつあります。

今のグッドパッチは自分でも想像していなかったくらい良い状態ではあるのですが、この1年は今思うと常に綱渡りのなかなか苦しい1年でした。今思い返すと1歩間違うと潰れそうなタイミングが何度もあって、本当によく会社が回ったなと笑ってしまうくらいです。そういった状況の中この1年で学んだ事も多かったのは事実で、備忘録としてまとめてみようと思います。

1、人間は追い込まれた時が一番の成長のチャンス

4月、僕は起業して8ヶ月目に最大の会社存続のピンチに陥りました。これはブログにも書いてはいるのですが共同創業者でもある取締役の谷がグッドパッチを離脱し、たった1人になってしまったのです。谷はデザイナーでもありフロントエンドエンジニアでもあり、個人でも本を出版したり連載を持っていたりととても優秀な人間でした。グッドパッチの売上を上げる受託制作部門は彼がすべてを回していたので谷がいなくなる=作る人がいない→売上も上がらないという状態になります。僕は前職で制作のディレクターをやっていましたがグッドパッチを起業してからは別の事業にリソースを割き、制作は谷に任せっきりでした。 谷が辞めると決まり僕は相当追い込まれました。この時に会社のキャッシュの残高は3ヶ月分くらい、4月以降の見込み案件もない。もちろん会社をたたむという選択肢もありました。しかし、ここで辞めてたまるかという思いと残り3ヶ月分の猶予があるのであれば3ヶ月死に物狂いでやってみるかと続けることにしました。

ここから僕は経営者というよりは完全にプレイヤーとして仕事を取ってきてディレクションまでを自分の力で回すしかありませんでした。自分1人しかいないので誰にも頼ることもできません。自分でお客さんに提案し、設計を考え、デザインをディレクションし納品というのをここから最近ディレクターを雇うまですべての案件を自分でやりました。ここで良かったのは今まで谷に任せていたのが、すべての案件の経験が自分自身のノウハウとして貯まり、お客さんにも評価をしてもらい自信にも繋がりました。  振り返ってみると谷がいた時はどこか谷に頼ってしまう自分がいて、起業したばかりなのに死に物狂いさが足りなかったなと思います。あの時、僕を起業前から知っている友人達はグッドパッチはもうダメかもしれないと思った人は多かったと思います。頼れる人がいなくなり自分しかいないとなると人間はやはり強くなるしかありませんね。

まあ今思うと借金を背負っている訳でもないし、自分の体が動かなくなった訳でもないのでそんなに大したことではないのですが、あの当時は結構精神的にも来てましたし追い込まれてましたね。でもあの局面を乗り越えたのは本当に自分の自信に繋がりました。間違いなく今のグッドパッチがあるのはあの時があるからですね。

どん底というのはその後にジャンプをするための屈伸のようなもの

2、リスクを取らなければ何も前に進まない

今年は自分でも恐ろしいくらいリスクを取りまくった1年でした。事業を1つに絞る、1人で事業を続ける、残り3ヶ月のキャッシュで事務所を借りる、大きな仕事を取るために先行投資で人を採用するなどあらゆる局面で自分自身でリスクを取って経営を進めてきました。他の人から見たら本当に冷や冷やする意思決定で何にも考えてないだけじゃないの?と言われそうですが、僕はリスクを取ったことによって良かったと思うことが多いです。

なんといっても退路が絶たれることによってそのリスクを回避するために最大限の努力をしなければいけない状況に追い込まれるからです。やはりリスクを取ってないと人間どこかでまあいいかと思ってしまうものです。人間なんてものは所詮弱い生き物です。

経営をやっていてリスクをリスクだと認識せずにそのまま事業を進めるのと、リスクをちゃんと認識して事業を進めるのとは大きく違います。僕は今年は勝負時を見極めて、リスクを取りそのリスクを最大限回避するように行動し、勝負に勝つというより負けなかったというのとリスクを取ったことによってスピード感を持って物事を進めるができたのが一番良かったです。

よく思うのが事業をはじめる時に頭の良い人ほどリスクを絶対に取りたくないのでなるべくリスクを取らない方法を探してから物事を進めようとします。しかし、それではスピードが圧倒的に落ちますし、参入のベストタイミングを逃してしまう事も多いです。このご時世リスクがない方法などほとんどないに等しいです。早めに腹をくくって、リスクを取ってからそれを最大限回避するように行動したほうがよっぽど効率的だと僕は思っています。

3、泥臭く仕事を取りに行くこと

今年、1つの案件を取るのに半年以上を費やしたものがありました。元々仕事が取れる前提で毎週のMTGを行いコンセプトメイキングや要件定義やデザイン提案もして人材も補充し3ヶ月経ったのですが、全く契約の話まで行かず話が頓挫しかけました。僕はこれはまずいと思いそこから2ヶ月の間、用事がなくとも仕事がなくとも毎日その会社に通いました。毎日通い上の人に顔を覚えてもらい会社をアピールしました。その行動を見た上の人に認めてもらい何とか仕事をいただく事ができました。現代にこんなスマートじゃない仕事の取り方があるのかと思いましたが、やはり仕事を取るというのはそういうこともまだまだ重要なんだなと気付く事ができました。 そうして取った仕事が当初の仕事の話よりも大きくなりグッドパッチは当初考えてたよりも多くの人材を採用することができ、グッドパッチの成長スピードを加速することに繋がりました。本当にあの時泥臭く行動をして良かったと思っています。 

4、必ずしも初期の仲間は優秀じゃなくても良い

弊社のスタッフは今のところ有名な大企業にいたり、名のある大学を出たり、何か賞を取ったりしている者は1人もいません。起業当初はビジョンを語り優秀な仲間をそろえなさいとよく色んな記事には書いてあるのですが、これは僕の場合には当てはまりませんでした。やはり優秀な人や経験のある人は独自の考えを持っている事が多いので、なかなか経営者の意見を聞かないということもあります。起業初期はすべてをスピード感を持って進めて行かなければいけないので、経営者の言うことを聞かないスキルを持っているスタッフがいるというのはベンチャーのスピード感を鈍らせます。

やはり一番大事なのはスタッフのマインドが同じかどうかです。

この1年採用をする時一番重要視したのはマインドが僕やグッドパッチのマインドに近いかどうかでした。結果、集まったのは前の会社が古い体質で新しい事ができなかった奴や、大学を卒業して就職もせずに飲食店でアルバイトをしながらWebサービスを作ってた奴や 、1年半くらい引きこもってJavascriptのコード8000行書いてゲームを作ってた奴など変な奴が集まってしまいましたw。しかもマインドが合っている事を重要視したため、未経験でも雇っているスタッフが何人もいます。 僕は経営の一番の醍醐味は人材の育成にあると思っているので、彼らを責任を持って育てるつもりです。前の会社でマインドが合わない上司が面接し採用した部下を育てるよりも、僕自身が人材を選んでいるのでよっぽど育てやすいです。今は戦力1とは数える事はできないですが、彼らが育ってきた時にグッドパッチの競争優位性が劇的に上がると思っています。それが今からとても楽しみで仕方ありません。

5、最終的には運だがそれまでに自分がどれだけ行動したかが重要

2012年、振り返ると僕は本当に運が良かったです。何度も潰れそうがタイミングがありましたが、何かが僕を守ってくれているかのようにピンチを抜け出すことができました。今年は本当にクライアントに恵まれた1年ではありましたがやはり大きな流れを変えてくれたのはGunosyが話題になったことでした。もしあの時Gunosyが話題にならなかったらおそらくグッドパッチは潰れていたと思います。潰れていなかったとしても、ここまで拡大することはできなかったと思います。 今では法人化するだけで話題になるサービスGunosyではありますが、なぜそのGunosyのUIにグッドパッチが関わっていたのか。それはやはり僕がシリコンバレーでGunosyチームの関くんと出会っていたからです。もし、あの時に僕がシリコンバレーに行っていなかったら関くんには出会わずGunosyにも関わる事はなかった、今のグッドパッチはありませんでした。あの時になりふり構わずシリコンバレーに行くと決めて、サンフランシスコのbtraxで働いたことがGunosyに繋がり、その後の大きな仕事に繋がったのです。

今年もう一つグッドパッチの運命を変えたのはチーフデザイナーの衣川のジョインでした。たった1人になってあと3ヶ月持つかどうかの会社に衣川さんは転職内定を蹴ってまで入ってくれました。ではその衣川さんとどうやって出会ったのか、それは前の会社で働いている時に技術力を向上と会社以外のコミュニティを見つけようと土日で通ったデジタルハリウッド大阪校でした。そこで衣川さんと僕は同級生でした。そこから衣川さんは僕の働いていた会社に入ってもらい、僕が起業してからも平日の深夜などにロゴのデザインやGunosyのデザインなどを手伝ってくれていました。もしあの時自分の会社だけでは技術力を磨けないと危機感を感じデジハリに入っていなかったら衣川さんにも出会っていなく、1人になった時に潰れそうなグッドパッチに入ってくれるデザイナーはいなかったと思います。

自分の直感で勇気を持って行動したことは必ず後に活かされるし、最終的な局面で運を引き寄せる力になると思います。点と点とは必ず繋がります。

2013年はさらなる飛躍の年に

2012年は経営者としても土屋尚史個人としても色々な経験をさせていただき学びの多い1年になりました。 1年も最高に良い状態で締めくくることができ、2013年は確実に面白い年になりそうな予感がプンプンしています。 2013年グッドパッチを更に成長させ飛躍の年にしたいと思います。

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